私を赤く染めるのは
昔からよく勉強を見てもらっていたが、人との接し方も上手くマネージャー業にも向いていたと思う。
教師がだめってわけじゃないけれど、Miraiなら碧人くんの力をより発揮して出世できたはず。お給料の面でもそう。
「教師よりも儲かったのに。あ、でも不規則な生活にはなるよね」
「そこは別にいいけど」
「そうなの?あ、じゃあ碧人くん意外に生徒と接するの好きなんだ!?教師になる前は向いてないって言ってたのにね」
「それも違うつーか」
何だか歯切れの悪い碧人くん。
「じゃあ何か他に理由でもあるの?」
「いや……まぁ、そういうことにしておくよ。それより、ゆづ課題は?」
わかりやすく話題を変える碧人くん。
さっきまでとは打って変わって教師モードに突入だ。
煌は定位置に移動して喋らなくなったし、課題でも見てもらおうかな。
「この辺がまだで……」
指差す先には見事に理系科目だけのテキストが並べられている。
「昔から得意なとこだけ先に手つけるとこ変わってねぇーな」
「だって苦手な教科から始めると前に進まないんだもん。それに理系科目なら碧人くんがいるし」
「答えは教えないからな」
「もちろん分かってますよ。橘せんせー」
「お?先生って言ったな。じゃあビシバシいくぞ、まずは一番やばそうな数学から片付けるか」
先生という言葉が碧人くんの教師魂(?)に火をつけたのか、さっそく数学のテキストを手に取りチェックする。
そして、隣に座ると空欄部分になっていた問題の解説をはじめた。