私を赤く染めるのは
授業でわからなかったところも、碧人くんの解説だとストンと頭に落ちてくるからどうしても頼りにしてしまう。
「あ、だからこういう答えになるんだ」
ひとつひとつ碧人くんの解説を頼りに空欄を埋めていく。
横目で煌を覗き見すると、テレビも付けずスマホに夢中なようだ。
勉強中の私に気を遣ってくれているのだろうか……?
けれど、それなら自分の部屋に移動すればいいのに。
そんなことを考えていると、ピッと鍵を解除する音が響いた。
「ただいまー」
課題に取りかかってから約15分、ようやくお兄ちゃんが帰ってきた。
スーパーの袋にはお酒やお菓子、おつまみ等が入っていて、明日のオフを満喫しようという気持ちが伝わってくる。
お兄ちゃんはうちに碧人くんがいることにはあまり驚かず、お願いしていたパソコン用のキーボードを受け取ると煌と仕事の話を始めた。
私は引き続き碧人くんと課題に取り組む。
「碧人くん、次ここの問題なんだけど」
「ああ、そこは──」
碧人くんにみっちり1時間、勉強を見てもらったおかげで課題の方は夏休み中に何とかなりそうだ。
「俺そろそろ帰るわ」
「碧人くん下まで送ってくるね」
お兄ちゃんにそう声をかけて、うちを出る。