私を赤く染めるのは
「今日はありがとう碧人くん」
「どういたしまして。それにしても、芸能人と同居ってドラマみたいだな」
「だよねー!私も最初は絶対無理って思ったんだけど何とかやってるよ」
「本当はハチがよかった?」
「うーん、それもね最初はそう思ったんだけど今は煌で良かったなって思う……。だって、ほら!ハチの前だとずっと気が抜けないし」
「まぁ、それもそうだな」
碧人くんと会話をしていると、エレベーターの音が1階への到着を知らせる。
「ここでいいよ。また何かあったら連絡して、ゆづが呼んでくれたらいつでも来るから。あと残りの課題もちゃんと忘れずに」
碧人くんが私の頭を優しくなでる。
そして、エレベーターに私を残して帰って行った。
相変わらず子供扱い。
でも、やっぱり碧人くんは優しいな。
うちに戻り、さっそく晩酌を始めていたお兄ちゃんに「もうすぐご飯だから飲みすぎないでよ」と一声かける。
リビングに置きっぱなしだった課題をしまおうと部屋のドアに手を伸ばした時、隣のドアがそっと開いた。
「あ、煌!すぐに夕食の準備するね。それとさっきはごめんね、押し倒しちゃって」
さっきまで寝ていたのか無造作なヘアスタイルに部屋着の煌。
それでも立ち姿は様になっていて、オフの煌に密着なんて特集を組まれてしまいそうだ。
「もういいって、理由はわかったし。紫月さんの友達帰ったの?」
「うん。今、下まで送ってきたところ」