私を赤く染めるのは
「仲良いんだな、あの人と」
「碧人くんとは10年近くの付き合いだからね。同居のこと知っててビックリしたよ。でも、碧人くんなら口も堅いから安心」
本当ならもっと早く話を聞いて欲しかったけれど、これからは何でも話せる。
そう思うと少し気が楽だ。
「課題なら俺も教えてやれたけど」
煌はそう言うとテキストの方に視線を移す。
ん……どうして急に課題の話?
煌って勉強得意だったっけ?
勉強なら一吹の方がイメージあったんだけど。
「いやいや、煌には聞けないよ」
たとえ煌が勉強を得意としていても、多忙な中、私の課題なんかにつき合わせられない。
それに、そんな時間があるのなら少しでも休息を取ってほしい。
「さっきの奴には頼ってたじゃん」
「碧人くんには昔から勉強を教えてもらってたの。今の高校に入れたのも碧人くんのおかげ」
「ふーん、あっそ」
「それに碧人くんって何でも出来るから、お兄ちゃんよりも頼りにしちゃうんだ。あ、今日のキムチ鍋も碧人くんからレシピを教わったんだよ。隠し味にケチャップを入れるの」
きっと煌も喜んでくれるはず。
そう思いながら顔を上げると、興味ないと言わんばかりにスマホに目をやる煌。
煌リクエストのキムチ鍋なのに。