私を赤く染めるのは
さよならまでのカウントダウン


        8月22日


煌がうちを出ていくまで10日を切った今日、リビングで一人正座をしながら祈る私。

フーッと長めの深呼吸をしてファンクラブのサイトにログインする。



「……なにしてんの」


その様子を変に思ったのか、わざわざ隣にきて首を傾げる煌。


その目の前にそっとスマホを差し出す。



「今からファンミのチケットを申し込むの!」

今日からBijou初ファンミーティング“Hello”のチケット申し込みがスタートした。



先日、詳細が発表されたファンミーティングは県内での開催で、無事お兄ちゃんから参戦の許可が出た。



「ああ。ファンミな」

「ああって!」

「そんな祈るほど行きたいの?」

「そりゃあもちろん!何よ、もしかしてまだ私がBijouのファンだってこと疑ってるの?」



「だからあれは疑ってたとかじゃないって。つーか、そんなに行きたいのならチケット取ってやろうか」


ゴトンッー、

煌の口から出た思いもよらぬ提案に手からスマホが滑り落ちる。



そのスマホを拾うよりも先に「へっえ?」と間抜けな声が出た。


< 63 / 165 >

この作品をシェア

pagetop