私を赤く染めるのは
「結月には世話になってるし。……それに紫月くんうちの会社に勤めてるんだから関係者席取れるんじゃね?」
世話になってるって、そんなこと初めて言われた。
優しすぎる煌はなんだか気味が悪い。
きっと、何か企んでるに違いない。
私から疑いの目を感じたのか「いや、まじな話」煌はそう付け加えた。
煌が取ってくれるって言うのはいわゆるコネチケ?
Bijouのコンサートは倍率が高く、今まで何度も落選という文字を見た。
そのたびに当落関係なく関係者席で観られる人達が羨ましく思えた。
けれど……。
「ありがとう煌。でも、それはいいや。Mon Bijouとして胸を張って参戦って言えないし」
煌の言葉はありがたいが、やっぱりファンたるものチケットは自分で確保したい。
……とは言いつつも、落選したら必死にSNSで譲渡を探すんだけど。
だけど、今回に至ってはファンミーティング。
本人しか入場できない決まりがあるため、落選すれば諦める他手がない。
あとで自分の言葉に後悔する日がくるのかもしれない。
でも、それでいい。
「真面目だな。コネチケ欲しさに近づいてくる奴もいるのに」
「え、なんか言った?」
「いや、何も」
「絶対に当ててみせるから」
ハチへの愛の力で!
「なんか落選のフラグ立ってんな」
「ちょ、煌が言うとなんか不吉なんだけど」