私を赤く染めるのは
「煌も朱莉に会うの!?煌へのお土産はないと思うけど」
「お土産目当てじゃねーよ。直接、会って話したほうが説明も早いだろ」
確かに煌の言うとおりだけど……。
そこまでしてもらうのは何だか申し訳ない。
「ゆっくりできそうなのは28日のお昼ぐらいかな。あとは新曲のプロモーションで忙しいし、29·30は2日とも家空けるだろ。あとは31日の夜に最後に3人でご飯食べられるといいな」
不意に出た“最後”という言葉に胸がギュッと締め付けられるような痛みを感じた。
夏休みが終わればこの同居も終わり。
最初からわかっていたはずだったのに現実を突きつけられたような……。そんな気分だった。
煌が安全な家へ引っ越せるなら喜ぶべき話なのに、なんでこんなにもモヤモヤするんだろう?
「……じゃあ28日ね。朱莉に伝えとく」
「ん、俺先に車回して来るから5分後に降りてきて」
お兄ちゃんはそう言うと一人先に家を出た。
「煌ほんとに良かったの?せっかくゆっくりできる時間なのに」
「大丈夫だって。お前、気兼ねなく話せる相手が欲しかったんだろ。出ていく前に最後のファンサービスだと思って気にすんな」
申し訳なさそうにする私の頭をくしゃくしゃとなでる煌。