私を赤く染めるのは


「あ、もうこんな時間だ。私ママと約束あるからそろそろ帰るね」

集まってから約4時間、朱莉がスマホ片手に立ち上がる。


「じゃあ、俺も帰るわ」

碧人くんも一緒に帰ることになり、今日の会はお開きとなった。


「碧人くんに送ってもらうから、ここで大丈夫」

朱莉にそう言われて玄関から2人に手を振る。


「またね」そう言いドアを閉めると、リビングからお兄ちゃんが誰かと話す声が聞こえた。

敬語だし相手は事務所の人かな?

邪魔をしないようにそーっと部屋に戻ろうとリビングを通りかかった時、


「えっ、本当ですか!?」


お兄ちゃんの驚くような声が家中に響き渡った。

廊下からひょっこりと顔を覗かせると立ちながら電話をするお兄ちゃんを煌も見上げている。

「あーはい、わかりました。はい伝えておきます。失礼します」

そう言うとお兄ちゃんは浮かない顔で電話を切った。

「何、仕事?」

私よりも先に煌が口を開く。

お兄ちゃんはなぜか私達と目を合わせようとはせず、壁を見つめたままじっと黙り込む。

「お兄ちゃん?」

私がそう呼びかけると今度は苦笑いをしながら口を開いた。

「ゆづ煌……同居もうちょっと続くかも」


それは予想外の言葉。

あまりにも神妙な面持ちだったせいで、あたなの妹は一瞬、仕事をクビにでもされたのかと思いましたよ……。

ていうか……、


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