私を赤く染めるのは
「素晴らしいライバル関係ですね。では、次はお2人の好きなタイプの女性についてお伺いしたいのですが」
好きなタイプ……そう言われてもなかなか思いつかない。
いや、正確には思い浮かぶもののアイドル“一色煌”が言いそうなイメージをつい探してしまう。
「そうですねー、俺のことを好きな子ですかね」
その答えにインタビュアーさんがクスリと笑う。
やべ、外したか?
「ファンからは意地悪な一色さんにキュンキュンするという声がよくあがりますが、実際でも好きな子には意地悪してしまうタイプなのでしょうか?」
「いや、そうでもないですよ。好きな子には優しいです。あ、でも最近はそうかも……あーやっぱり今のなしで」
話している最中に思い浮かんだ顔を瞬時に消し去る。
あいつはそういうのじゃない。
特定の誰かを好きになったりしない。
Bijouを結成するときにそう決めた。
「久賀山さんは?」
「何かに一生懸命な方は皆、魅力的に見えますね。強いて言うなら年上の方がふと無邪気に笑う瞬間にドキッとしますね」
さすが正統派王子。
……でも、後半はやけに具体的だった気がするけど、俺の気のせいか?
ちらっと一吹の顔を盗み見るが、その表情からは感情が読めない。
「インタビューは以上になります。本日は貴重なお話をたくさん聞かせて下さりありがとうございました。また是非ともお仕事ご一緒させてください」
「ありがとうございました。こちらこそ、またご一緒させていただけるように頑張ります」
そう言って一吹と頭を下げる。
こうして雑誌の取材は終了した。