私を赤く染めるのは


「明日CDショップ寄ってくんの?」

「もちろん」


「ファンクラブサイトで予約してるって言ってたよな?」

「それとは別の特典が付くの。はぁ〜握手会当たるといいな」


「握手会ならこの前してやったじゃん」

握手会?…ああ、あれか。

どうやら煌はうちに初めて来た日のことを言っているらしい。

確かに握手……したね。

色々なことがありすぎて、すっかり頭から抜け落ちていた。



「私が握手したいのはハチです〜」

「そんだけ想ってたら当たるんじゃね」

煌にしては珍しく優しい言葉が飛んでくる。

ハチへの愛は確実に煌へと伝わっていたのかな?

「煌……!」


「俺の握手券が」

私の反応を見てケラケラと笑う煌。

……ああ、そうだ!一色煌はこういう人間だった。




「煌のが当たったら交換に出すから」

「ひでー奴。せっかくいいものやろうと思ったのに」


「いいもの?」

「洗い物が終わったら部屋きて」

煌はそう言うと冷蔵庫から取り出した炭酸水片手に部屋へと戻って行った。

いいものって……何?

煌の意味深な言葉が気になり、自然と食器をすすぐスピードが速くなる。

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