私を赤く染めるのは


翌日、教室内のBijouファンは朝から新曲の話で盛り上がっていた。

私もその中の一人で、普段はあまり話さないクラスメイトとの会話も今日は面白いくらい弾む。

朱莉はそれほどBijouに興味を持ってはいないが、私のマシンガントークを笑顔で聞いてくれた。



放課後、駅で朱莉と別れたあとCDショップへ向かう。

この辺で一番大きなCDショップの前には私の身長(160cm)よりも大きなポスターが貼られていた。

入口には写真の違う看板が2種類。
Bijouへの力の入れようがヒシヒシと伝わってくる。

店内に流れているBGMも、もちろんBijouの新曲。

これを幸せ空間と呼ばずなんと呼ぶのだろう。

スーと息を吐いて、ハーと大きく吸う。



「ここに住みたい……」


Bijouのコーナーには同じく学校帰りに寄ったであろう制服姿の女の子たち、それに小さな女の子や大人の女性もいた。中には男性の姿も。


通常版、DVD付き、限定版と3種類が発売される中、すでに限定版の列は空でsold outのシールが貼られていた。

発売日前日に売り切れるなんてさすがBijou。

私は3種類をファンクラブサイトで予約済み。ここでは通常版1枚だけを手に取った。



レジでお会計をしてショップ特典のポスターを受け取る。

それを3店舗で繰り返し、家に着くと20時を回っていた。

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