私を赤く染めるのは


_____________

      Bijou
   『振り向く君に』
   発売記念“初”握手会

    蜂谷大晴

  20XX年11月5日 12:00~

______________


ハチの握手券が封入されていたのだ。

何度、確認してもそこには推しの名前が書いてある。


昼間、SNS上でファンの子たちが上げていたのと同じもの。

本当に、ほんとーっにハチの握手券が当たったんだ。


私は握手券の写真を付けて、朱莉に連絡をした。

すると、朱莉からも驚きとお祝いのメッセージが返ってくる。

《嘘!?本命のハチじゃん。良かったね。おめでとー♡》

「うぅ……ありがとう、朱莉ぃぃ」



開封結果は6枚中1枚当たり。
トレカは一吹が2枚と他のメンバー、全員集合のものがそれぞれ1枚。

出なかった慎くんはSNS上で一吹との交換が決まり、無事コンプリートすることができた。

それからはご飯を食べても、お風呂に入っていても頭の中は握手会のことばかり。
お兄ちゃんから《遅くなる》という連絡をもらった私は興奮冷めやらぬまま眠りについた。



翌朝、目を覚ましてまず一番はじめに硬質ケースに挟んだハチの握手券を確認する。

よかった〜〜〜!!夢じゃない。

「お兄ちゃん!煌!聞いて」

リビングにいたお兄ちゃんと煌にハチの握手券が当たったことを伝えると、煌はたった一言「良かったじゃん」そうつぶやいた。




< 85 / 165 >

この作品をシェア

pagetop