私を赤く染めるのは
9月10日、日曜日。
午前中のうちに家事を済ませた私は、テレビを観ながらダラダラとした休日を過ごしていた。
「今日は全国的に大荒れですね」
「なるべく外出は控えて下さい」
テレビからはお天気キャスターのそんな声が聞こえる。
煌とお兄ちゃんは昼からロケに向かい、夜は打ち合わせにトークバラエティの収録と大忙しだ。
最近、凌久と一吹のマネージャーが体調を崩したらしくお兄ちゃんは一時的に凌久のマネージャーも兼任している。
凌久は元々学業優先で個人活動は少ないものの、握手会までの間はプロモーションも兼ねて積極的に活動中。
今まで以上に多忙なお兄ちゃんは、事務所での寝泊まりすることが増えていた。
そろそろテレビも観飽きた頃、気づくと私はソファーの上で寝落ちしていた。
気持ちよく眠る中、私を起こしたのは落雷の音。
ピシャーンという音に飛び起きると今度は曇天の空が明るく光る。
その数秒後にはまた落雷が地面を叩きつけるかのような音がした。
雨もさっきよりひどくなっている。
「苦手なんだよなぁ、雷」
得意だという人のほうが少ないだろう。
数十分経っても鳴り止まない雷の音。
お兄ちゃんからは届いた《大丈夫か?》というメッセージに返事をしたが、既読はつかない。
きっと、忙しいんだろうな。