私を赤く染めるのは
「気をつけてね。それから来てくれてありがとう」
「ああ、夜には帰ってくるからそれまでいい子にお留守番してろよ」
そう言う煌を「はいはい」と見送り、私はさっきまで座っていた場所に戻った。
まだ微かに煌の温もりが残っている。
ドクン、ドクン、と煌とは離れたのにそれでも鳴り止まない鼓動。
駆けつけて来てくれた時の煌を思い出すとまた胸がギュッと締め付けられる。
そして、手を握られた時のお兄ちゃんとは違う安心感と心のざわめき。
相手は大人気アイドルBijouの一色煌。
そんな相手に無謀だ。
だから……本当は気づきたくなかった。
でも、もう誤魔化せない。
私は煌のことが好きなんだ───。