私を赤く染めるのは


生放送終了後、煌とお兄ちゃんはテレビ局から直接うちへと帰ってきた。


「ただいま。完璧だったろ?って結月はハチしか見てねーか」

煌はそう言うと茶化すように笑った。

私が昨日のことを気にしなくて済むように、そんな態度を取ったのだろう。

「見てたよ!完璧だったし感動した。……かっこよかった」

「素直に褒められると照れるんだけど」

そう口にする煌に照れている様子はなく、なぜか私のほうが頬を赤らめる。

昨夜はそれどころじゃなかったけれど、私は昨日煌のことが好きだと自覚した。

今までどんな風に煌と接してたっけ?

平静を装いながらも頭の中は混乱状態で、煌に会った瞬間から鼓動のテンポも速くなっていた。


「煌、ゆづ。2人とも今日はさっさと寝ろよ。また明日から忙しいんだから」

そう言った直後に大きなあくびをするお兄ちゃん。


「お兄ちゃんもね」
「紫月さんもな」

その様子に私と煌の声がシンクロした。

2人に夜食を用意したあと、私は先に部屋に戻り眠りについた。


夜中の1時、喉が渇いて目を覚ました私はキッチンへと水を取りに行った。

すでにリビングの電気は消えていて、煌とお兄ちゃんは本当にすぐ眠りについたようだ。

「はぁーあ。私ももう一眠りしよう」

キッチンの電気を消し、自分の部屋に戻ろうとした時、煌の部屋から「ゔっ」と唸るような声が聞こえた。

< 99 / 165 >

この作品をシェア

pagetop