私を赤く染めるのは
生放送終了後、煌とお兄ちゃんはテレビ局から直接うちへと帰ってきた。
「ただいま。完璧だったろ?って結月はハチしか見てねーか」
煌はそう言うと茶化すように笑った。
私が昨日のことを気にしなくて済むように、そんな態度を取ったのだろう。
「見てたよ!完璧だったし感動した。……かっこよかった」
「素直に褒められると照れるんだけど」
そう口にする煌に照れている様子はなく、なぜか私のほうが頬を赤らめる。
昨夜はそれどころじゃなかったけれど、私は昨日煌のことが好きだと自覚した。
今までどんな風に煌と接してたっけ?
平静を装いながらも頭の中は混乱状態で、煌に会った瞬間から鼓動のテンポも速くなっていた。
「煌、ゆづ。2人とも今日はさっさと寝ろよ。また明日から忙しいんだから」
そう言った直後に大きなあくびをするお兄ちゃん。
「お兄ちゃんもね」
「紫月さんもな」
その様子に私と煌の声がシンクロした。
2人に夜食を用意したあと、私は先に部屋に戻り眠りについた。
夜中の1時、喉が渇いて目を覚ました私はキッチンへと水を取りに行った。
すでにリビングの電気は消えていて、煌とお兄ちゃんは本当にすぐ眠りについたようだ。
「はぁーあ。私ももう一眠りしよう」
キッチンの電気を消し、自分の部屋に戻ろうとした時、煌の部屋から「ゔっ」と唸るような声が聞こえた。