ペリドットの約束
すると階段から足音が聞こえてきた。

石の階段を降りてくる、乾いた音だ。


「こんばんは」
その足音は、兄だった。

こんな時間まで仕事をしていたのだろうか?
司祭の祭服を着ていた。


「お兄さま」


「プリシラ、今日は誕生日だったね。
パーティーに出れなくてごめん」


「お兄さま、寂しかった」
わたしは兄に甘えた。


「ごめんね。

さて……そこの方、
お待ちしておりました」


「……」
ロベルトは困惑して黙っている。


「今朝、女神さまが夢に現れて、

夜にやって来る旅のヴァイオリン弾きに
妹を任せるようにとのお告げがありました」


「……え?」
と、ロベルト。


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