激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
六、満たされていく。
六、満たされていく



素直な感想は、やっちまった。

下品な言い方ではなく、昨晩の私の行動についてだれか説明してほしいということだ。
頼むから誰か、昨日の私のどうかしていた思考回路を、過去に戻って修正してきてほしい。
 彼を選んだことではなくて、自分から大胆に抱き着いたり、求めてしまったこと。
 今までそんなこと、一度もしたことなかったのに。
 理性が仕事しなかったことなんて昨日が初めてだった

「……んっ」

無防備に寝返りをうち眠るこの男の横で、頭を押さえる。
彼の匂いが、私の身体の奥を濡らしていって、深く繋がれば繋がるほど、匂いに満たされて。
今も、全身が熱くなるほど、彼の動きを思い出すたびに体が疼いてくる。

小さく漏れた甘い声と共に、彼の右手がシーツの波を泳ぐ。
一度海をかき分けて、もう一度下がってもう一度掻き分けて、隣に誰もいないと気づいたのか動きが止まる。

「美優、今何時だ?」
「全然まだ出勤には程遠い時間です」
「……じゃあ、おいで」

目は開けないくせに、ポンポンと自分の隣を叩く。言われなくても、私のベッドだし自由にしますよ。

「美優」

隣に来た私を引き寄せて、頭の上に顎を乗せると安心したのか寝息が深くなる。

というか、普段と違って寝ぼけてるときは無防備で、不覚にも可愛いとか思ってしまう。
結局二度寝してしまった。起きたら、何かが変わっているんじゃないかて思ったのだけど確認している暇はない。急いでモップにご飯を用意すると私も出勤の準備をはじめた。

「流石に俺も起きないと遅刻だ」

途中で諦めたのか、人のベッドでゴロゴロ寝返りを始めたので、ジャケットを投げつけた。

「車で駅まで送ってください!」
「恋人になった途端、アッシーか」

ぼやく割には顔が蕩けている。今度こそ初めてを迎えた朝だというのにこの甘さ控えめな感じはなんだろう。遅刻しそうなシチュエーションが邪魔をしているのか。
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