激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「うし。化粧はファンデだけであとはマスクに眼鏡で誤魔化す!」
諦めた私の横で着替え終わっていた彼が、キーケースを回しながら笑う。
「化粧してもしなくても変わらないしな」
「どうせ下手くそですよ」
「いや、どっちも可愛いってこと」
なんとまあ砂糖が口から出てきそうなほど甘い言葉。
本当に私に言ったのか、後ろを振り向いてしまった。が、私以外誰もいるはずがなく、彼の視力の悪さに感謝するしかない。きっと裸眼じゃ何も見えないはずだ、と何度も自分に言い聞かせたのだった。
エレベーターの中で、一度唇を合わせた。
驚くほど、身体が熱くなって溶けてしまいそうだった。