激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

「でも要するに、日本に帰れば君は辛いわけだ」
「そうですね。自殺したくなくてここに逃げてきたんで」
「じゃあここで俺が君を幸せにしたら、君は俺に惚れちゃうと」
「惚れません。もう恋愛なんてこりごりです」

 潜水艦が走り出した。

 周りをサーフィンしている地元の人たちが、ハングルースのポーズで見送ってくれている。

「やさぐれていて、人生で一番悲惨な性格してるんで、近づかないでほしいです」

 しばらく走っていた潜水艦が止まり、スタッフの案内に従って丸い窓へ目を移す。
 普段なら、きっと美女をはべらしてそう。
 地位もあって顔も整っていて、性格も誰にでも気さくに話しかける。

「貴方も一緒です。姉と私が困ってたら、姉を助けそう」

 偶々、仕事で来た場所で暇そうにしている私に面白がって声をかけただけ。
 姉がいたら、そっちに声をかけ私には目も向けないはず。

「話が見えないけど、俺は君に声をかけたので、お姉さんは興味ないね」
「必死ですね」
「君を探していたっていっただろ。まさか日本で再会より、ハワイで再会なんて運命で舞い上がるね」

 あまりにも嘘臭い彼の言葉に、窓から彼へ視線を映す。

「君とは僕は以前会っているんだよ。覚えてない?」
「……全く」
 こんな目立つ人を忘れるはすない。会ったら強烈に覚えていると思う。
「思い出すまで、付き合ってもらおうかな」

 クスクス笑う彼が、少しだけ傷ついているように見えて、胸が痛んだ。
 そんなはずないのに。傷心してるのは私の方なのに。

「分かったっ」
「思い出した?」
 彼が一歩近づいてきたので、私は一歩退いた。
「貴方ってこんな風に女性を口説いてるんじゃないの?」
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