激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「でも犬アレルギーでしょ。それに優希はどうしたの?」
「まあ。だって犬はただのトラップだし。優希は本当に寝たわけじゃないわ。酔わせて一晩ベットに寝かせたら舞い上がっただけ」
「じゃあ妊娠してなかったの?」
驚いて声が震えたら、姉はクスッと笑った。
「あんたはさ、顔が残念なんだから強かに生きなさいよ。あんたに慰謝料請求されても、私には肩代わりしてくれる人が沢山いるし、私の方を好きになるのよ」
どこか安堵したような納得したような気分。
姉が優希を選ぶなんて思えなかった。
「勉強出来たり真面目ぶったりして私と競おうとしてたけど、私に勝てる要素は何もないのよ」
ふふんと腕を組み勝ち誇った姉と、私の間に車が一台停まった。
運転していたのは松永さんだ。
「遅くなりましてすみません、守屋さん。お乗りください」
「すみませぇん。私も守屋なんですけどぉ」
向かい側の窓を叩いて、姉が満面の笑みで松永さんにアピールすると、松永さんは微笑んだ。
「お久しぶりです。副社長に代わって電話でお話させて頂ていました、松永です」
「……は?」
松永さんはわざわざ運転席から出てくると、私が持っていた書類を引き取ってくれた。