激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「副社長が貴方とはお話したくないけれど、モップの件で連絡しなければならず私が代行させていただいていました」
「えっえっ」
姉が戸惑う中、書類の中身を拝見し、何度か頷いた。
「これはご自身で描かれたデザインでしょうか。素晴らしいですね」
「まあ。フリーデザイナーですので」
自信満々に答えると、松永さんがその書類を姉に押し付けた。
「今日の会議で、貴方のデザインとほぼ同じものが企画で通ったのですが、あれは盗作ですか」
姉の顔が真っ青になる。分かりやすいほど涙を浮かばせて、大きく首を振った。
「私、知りません。ただ犬に会いたいのとデザインを見てもらったのは偶然で」
「では、こちらの企画書をお返しします。モップの所有権も問題なく副社長に移っておりますので、今後のご連絡はお控えください」
「そんなっ」
「守屋美優さん。お乗りください」
フルネームで呼び、私の為にドアまで開けてくださった。
そしてドアを閉めてから、松永さんは咳払いをする。
「副社長から伝言です。何があろうと貴方と連絡することはないと。それと美優さんに近づかないでください。とまで」
その瞬間、泣いていた姉が顔を歪めて松永さんを睨みつけた。
「副社長は何があろうと貴方とお会いになりません」
もう一度、大きな釘を刺すと、屋敷に侵入した件も苦言して車を出発させてくれた。