激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「あの、松永さん」
「すみません。お二人が溺愛されているモップくんを所有物扱いしてしまいました」
「いえいえ。仕方ないです。それより今のはどういうことですか」
混乱した私は、振り返ると呆然と立ち尽くしている姉を見ても頭の中はクエスチョンマークだらけだった。
「先ほどの方が副社長に何度か接触しようと試みていたのですが副社長は貴方に伝えたら不安がるだろうと心配されていました」
確かにそうかもしれない。
だって姉は私にとってはトラウマでしかないから。
「もしあの人が心の底から反省していたら、直接会いたくないと伝える予定でしたが先ほどの様子から性根が腐っているように感じましたので、私から引導お渡ししました」
「ありがとうございます。すみません、色々とご迷惑をおかけしました」
松永さんはミラー越しに微笑んでくれた。
「あの人がどんな手を使っても会えない相手が、貴方の大切な人です。どうですか」
松永さんもどこか嬉しそうなので、私も嬉しくて笑ってしまった。
彼の会社に向かうと、人が少なくまばらだった。
会議すらも嘘だったのかもしれない。
松永さんはさっさと自分の車に乗り換えて、私は会社から出てくる宇柳さんを待った。
「大丈夫だったか」
「ずっと姉が貴方に接触しようとしてたんですね」
私の言葉に、彼は苦笑していた。
「強かな人だな。屋敷に侵入して子犬を解き放っている様子が監視カメラで映っていて、寒気がしたよ」