激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
姉は昔からずっと私に張り合っていた。
ベクトルと言うか、性格も違うから得意な分野は違うのに。
私がテスト前に勉強していたのも笑っているような人なのに。
「今頃、彼女がうちの実家の周りをうろうろしていたり、庭に侵入していた証拠と、デザインの盗作疑惑についての証拠書類がご実家に届いているはずだろう」
「ご迷惑かけてすみません」
「いや、これで君がすっきりして前を歩けるならば、それでいい」
そういえば最初にモップに出会ったときに微かに嫌なにおいがしたんだ。
今思えばあれは姉の香水だったのだと分かる。
「……宇柳さん」
「いつになったら、下の名前を呼べ、と言っていいのか、これでも悩んでんだぞ」
腰のあたりに手が置かれ、更に身体が引き寄せられ密着しながら、彼の胸が早なっているのに気づく。そう思うのに、私は嬉しくて背中を抱きしめ返す。
「聖さん……」
初めて名前を呼んだ瞬間、ぶわっと身体が熱くなった。
おかしな話。何回も体は繋げているのに。
「無理やり時間を割いてきたんだ。――キスする時間ぐらいしかない」
私の頬を撫でたあと、唇を触ってきたので慌てて止めた。
「や、ちょっと待って」
「なんだ?」
「……キスは嬉しいんだけど、聞いてほしいの」