激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「あー、……陽キャ全員爆発すればいいのに」
「石田くん、仕事中でしょ」
うわ、と小さく声を上げてしまいそうになって聖さんの背中に隠れた。
そうか。まだ時間的に撤退中なんだ。寒そうに手を擦っている石田くんはモップと同じサンタのコスプレ中だ。
「挨拶してくるか?」
「やめて! 本当に止めて!」
ブンブン頭を振る私に、大爆笑の聖さんはどこか機嫌が良かった。
浮かれている、という言葉が似合う感じ。何を企んでいるのか、と少し何か異変を感じたのだった。
レストランは、一階の個室だった。駅から海辺までのパノラマビューを楽しめるし、海側はドックランになっている。ペットをそこで見てもらっているうちに食事をしてもいいし、一緒に食べた後に、一緒にドックランに入って遊ばせてもいいらしい。
モップは、食事が来るまでそこで遊ばせてみた。普段から聖さんの実家の庭を走り回っているだけあって、楽しそうだった。
食事は、オーガニックカフェだけあって素材にこだわっていて文句なしで美味しかった。
オオマスとアボカドのディブ、海の幸入りカボチャスープ、トマトと季節野菜のリガトーニ、メインは鴨ロースのロースト。量は結構あったけれど、あっさり、さっぱりしていてパクパク食べていた。それを見て、幸せそうに微笑む聖さんに調子を狂わせられる。