激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
「みどりの心配ばかりする。こっちの方が健気でいじらしくて可愛いいけどな」
よしよしと頭を撫でられて泣きそうなほど嬉しくなった。
この人は、私のことを考えてくれている。
「私はもう、聖さん以上に好きになれる人はいないよ」
「そうだな。俺もだよ」
「だから、失うのが怖いなって思っちゃった」
笑いながら、私の頭に顎を乗せて、少しふざけたような声で言う。
「俺だって。美優が去って行ったら、おかしくなりそうだよ」
「……どんな香りだったらいつまでも忘れないんだろう。思い出して、胸が熱くなるような」
「さあ。俺はこうやって抱きしめてるときの、ドキドキしてる可愛い美優を香りの中に閉じ込めてやりたいけどな」
正面に向き合ったあと、口づけを落とされる。私も、今抱きしめられるときに鼻をかすめるこの香りを閉じ込めたい。
「……このシャツ、ちょうだい」
「それは駄目だ。シャツじゃなくて目の前の本人を抱きしめればいいだろ。ほら、さっさと」
「きゃー」
その日はなんだか少し胸が切なくて、モップと聖さんを抱きしめて眠った。
寝苦しくて一度だけ起きてしまったけど。
愛しい彼の指先につけてある指輪に口づけて、眠たそうに眉を顰める聖さんの胸に飛び込む。
すると抱きしめ返されて、――私は再び眠る。
次は、この結婚の先の未来に焦がれる夢を見よう。