激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

受付で渡された紙袋には、うちの会社で作ったアロマキャンドル。『楚々』が入っていた。
私は既に持っていたけれど、受付で貰った人たちは、一つ一つ取り出して嬉しそうだった。

「美優」

人ごみを掻き分けて、彼が私に手を振る。
美麻が気を使って、距離を取ってくれた。
始まり前なので、ステージではオーケストラの演奏が始まりしっとりした甘い音色の中、私の前に現れた。

「ふ。すぐに発見してしまった俺に、愛を感じるな」

機嫌がいい彼が、私の手を取って振り返り挨拶をしてくれる人たちに会釈しながら歩き出す。
ステージの下まで連れていかれると、オーケストラのしっとりした音楽が激しくリズミカルになった。副社長が女性をエスコートしている、と会場の視線が徐々に集まってくる。
それが居心地が悪くて、どんどん真っ赤になって頬が熱くなる。

「わ、私、壁に隠れとくから」
「――美優に見てほしい。俺の支えは君だから」

笑った彼が、ボーイさんを呼んでシャンパンを手に取ると私にもグラスを渡す。
「美優のおかげで満たされてる。だから、人の脱いだ服をいちいち嗅ぎにくんなよ。あとで存分に俺を味わえばいいんだから」
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