激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
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優しい人だ。
見ず知らずの私を、抱きしめてくれた。
知らないのに、知っている人みたいに扱ってくれたし、色んな場所に連れて行ってくれた。
女性の扱いが上手なだけあって、私なんかにもエスコートしてくれた。
本当に愛してもらえていると錯覚するほど。
彼は私を優しく愛しげに触れ、幸せの香りでみたしてくれた。
どうかしていた。
ハワイの熱に当てられたことにする。
二日前に会っただけの人と、一夜だけの恋人のように、その熱に。その優しさに、その真っ直ぐな瞳に縋った。
彼の体温が私の身体に移る度に、満たされて夢心地のような幸せが襲ってくる。
窓の外には、落ちてきそうな月が海に映っている。
淡い光りの中、薄いカーテンが靡いて、私たちの輪郭をなぞる。
軋むベットと、悪いことをしているような背徳感が、今は私をつなぎ止めている。
彼の舌が首を這い、胸元まで下りてくる。
匂いも香りも、引き締まった身体も、優しい言葉も、真っ直ぐな瞳も。
今は全て愛おしかった。
たった一晩の関係でもいい。
満たされて、救われた。
今日の思い出だけで、明日からの逆境を乗り越えていこうと思えたんだ。