激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす

 ふわりと香る彼の匂いに、胸が騒ぐ。

「それで貴方に何がメリットがあるの?」

 恐る恐る尋ねると、彼はまた余裕そうに微笑む。

「君の傍にいられる」

 私なんかに。
 そう言いそうになって下を向く。何も言えなくなった。

「君のことを沢山知れるし、君を口説ける」

 ただ彼に前で自分を否定するのは止めようと思った。
 一夜の関係だと思っていたから沢山本音を吐露したし、自分から抱き着いた今、彼とどう接していくのが正解なのかは分からないままだった。

彼は、少し、この今の状況を楽しんでいる様子で髪を掻き上げた。
昨日の隙のないぴっちりと後ろに流していた髪ではなく、前髪が下りてきてちょっと幼い表情に見える。そんな、プライベートって感じの顔も素敵すぎる。



「聞いてる、美優?」
「あの、全然頭に入ってこないです」
「そろそろ、送るよ」
手を掴まれ、胸まで引き寄せられた。シャツからは、彼の匂いが香る。
香水で隠れた彼自身の匂い……堪らない。品があるというか、爽やかというか。
吸い込まれそうに情熱的な彼の瞳が近づいてくる。
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