激甘御曹司は孤独な彼女を独占愛で満たす
話を変えるためにスマホの着信履歴と親からのメールを見せる。
今日だけで着信十四回。メールは長文が四通。
「あんたが自殺してないか心配してるーーわけないか。今までの関係だと」
「もちろん」
留守番電話に残っていた親の声を聞かせると、美麻は目を見開いた。
『姉妹なのだから結婚式は来るように』
『慰謝料なんて馬鹿なことはやめなさい。新しい命のためにも』
『うちの地元では妹がリングピローを作るのが当たり前』
「なんであんたの親って全部命令口調なの? お姉さんにも命令口調?」
「いや、姉は自慢の娘だから溺愛してるよ」
留守番電話を消そうとしたら、美麻に止めれらた。
「それ、消さないで。うちさ、兄が弁護士だから。証拠全部残しといてよ。で、もう親とも関わるの止めな。精神衛生上よくないよ」
「そうだね。どんなに親の言うことを聞いたって幸せが見えないわ」
「大人なんだから聞く必要もないし。全然あんたの心配はしてないじゃん」
そうなんだよね。
親からの連絡は全て姉を気遣うことはあれど、私への言及は我慢しなさいとか妹だからの一点張り。
今から両親と心を通わせるのは、きっと私の精神が削られていくだけだと思う。
「まあここまで育ててもらったことだけは感謝ね。あんたに出会えたから」
「美麻ぁ」
「ジョッキ大と軟骨の唐揚げと焼きうどんで」
抱き着こうとしたのにかわされて、注文なんてしてやがる。
でもこれぐらいさっぱりしてくれている方が、私には助かる。
美麻のような友を持てて幸せだ。