白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「ふたば? ワイン、飲んだのか?」
気づいたらシャワーを浴びてきた琥白さんが隣に立っていて、びくりと体を震わせる。
「あ、すみません……。先にいただいちゃった」
「もちろんいいけど……。ふたば、これまで絶対俺の前で酔わないようにしてただろ」
「っ!」
そう言われて、そうだったことと、そしてそれを琥白さんに気付かれていたことに焦る。
(なんで忘れてたんだろ! しかも、それに気づかれてるなんて!)
焦る私を見て、琥白さんは苦笑して続けた。
「別にいいよ。そういう危機感は大事だし、実際俺に狙われてるわけだし」
(実際に狙われてるって……!)
その発言に、慌てて琥白さんから身を引く。
「ぜ、絶対に何もしないでくださいよ!」
「安心しろ。ふたばが覚悟できるまで、最後まではしないって」
「最後まではって……」
それはそれで不安だ。これまでのことだってあるのに、私はなんて無防備にワインなんて飲んでるんだ!
軽く絶望する私を見て琥白さんは笑うと、私の髪を優しく撫でる。
その琥白さんの男らしい手を見て、私はまた何故か緊張して、ワインをもう一杯煽っていた。