白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
琥白さんは先に愛華さんの屋敷まで向かうと、屋敷の前で愛華さんを下ろした。
私は二人の邪魔になってはいけないと先に車に戻って二人をそっと見る。
二人は微笑みあってて、その雰囲気はやっぱり悪くない。
高校時代の同級生ということもあるし、紛うことなく美男美女でお似合いである。
そんなことを思うと、またツキリと胸が痛んだ。
「なんだこれ……」
呟いた時、琥白さんが車に戻ってくると、私の左側に乗り込む。
確実に、愛華さんの前とは違うブスっとした怒った表情で……。
車が発進する。
「また愛華と二人きりにしようとして……。まだ諦めてなかったのか」
琥白さんは低い声でつぶやいた。
「そ、それで……な、なんで怒ってるんですか」
「怒るだろ」
琥白さんはそう言うと、私の左手に、自分の右手を這わせた。
するりと指の間に琥白さんの指が入り込むと、やけにその手が熱くて、私は思わず目を瞑る。