白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「やっ……!」
思わずその手を振り解きそうになるけど、それは許されなかった。
琥白さんは私の方をじっと見ると、口を開く。
「……そんなに俺が嫌いか? そうじゃないだろ?」
「やっぱり自信過剰」
私が言うと、琥白さんはするりともう片方の手で私の頬を撫でた。
「普通、嫌いな奴にこんなに無防備に触らせないし、舌まで入れさせない」
そしてそのまま私の唇を指で撫でる。その感触がたまらなくてまた目をぎゅっと瞑る。
その時、私は自分が思ったより酔っていたことに気づく。だって、頭クラクラするんだもん……。身体だって熱いし……。
琥白さんは唇を撫でながら、
「嫌ならちゃんと拒め」
なにを、と聞き返すより先、琥白さんがキスをして、そのまま唇を割って舌を口内に這わせた。
くちゅ、という水音が車の中に響いて、頭がおかしくなりそうだった。
私はただ固まるだけで、琥白さんはそれをいいことに何度も何度も激しくキスをしてくる。
こんなところで嫌なのに……勝手にこんなことされるのも嫌なのに……。
それでも拒めないのは、今、私が酔っているからだ。
ーーーただ、それだけだ。