白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「ほら、食べろ」
 琥白さんはそう言って、そのまま私に食べさせようとする。

「ちょ、一人で食べられますって!」
「いいから。素直に食べないなら口移しで食べさせるぞ」
「絶対やだぁああああああ!」

 私が泣きそうになりながら言うと、琥白さんは笑う。

「だったら、このまま素直に食え」

(えー……)

 そうは思うけど、やっぱりおいしそうなものには勝てない。さっきからいい匂いもするし。
 私は琥白さんの手から、パクリと一口それを食べた。

「! これ、おいしいです!」

(なんだこれは! 甘すぎなくて、サクサクしてて、めちゃくちゃ美味しい!! パリでもこんなに美味しいの食べたことない!)

 美味しさに驚く私と、愛おしそうに目を細めた琥白さんと、目が合う。

 そうするともうだめだ。
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