白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
はくはくと息を吐いて、ぼんやりした視線で琥白さんを見ると、琥白さんは緊迫した表情で、私を見て頬を撫でた。
「琥白さん?」
「今日……このまま最後までしちゃ、だめか? 今日は酒も入ってないだろ?」
「え……?」
胸がどきりと大きく音を立てる。
絶対いやだ、と答え続けていた自分の口からその言葉が咄嗟に出ないことに気づく。
その代わりに、それを想像して、頭も顔も身体も全部熱くてどうしようもなくなっていることに気づいた。
なにこれ。酔ってないから、余計に言い訳がつかなくなる。
(こんなの、だめなのに……)
泣きそうになって琥白さんを見ると、琥白さんはまだ真剣な表情で私を見ていた。
「全部知ってほしい。俺のことも、それにふたばのことも全部知りたい」
「……」
(なんで、すぐにダメって言えないんだろう。私……今、頷きたいって思ってる)