白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「ふたば?」
優しい声で私の名を呼ばれると余計に泣きそうになった。
しかし、私は極限まで小さくなった理性を奮い立たせて何とか首を横に振ると、
「だめ。……しない」
と何とか声に出す。
琥白さんは緊張した息をふぅっと吐き出すと、私の頬をそっと撫でた。
「ごめん、嫌だよな。焦っただけだから……気にしないでくれ」
でも、その表情は辛そうで。
私は痛いくらい胸が掴まれる感覚がしていた。
(嫌なわけじゃない)
そう言いたいけど言えなくて、琥白さんにそっと自分からキスをする。
琥白さんは少し驚いた顔をした後、私をぎゅう、と強く抱きしめて、「ふたば、愛してる」と耳元で低く囁いた。