白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
そしてくるりと振り返った琥白さんの目に捕らえられ、私はそのままの状態で固まっていた。
そう。
その言葉通り、私は擦りきれるほど、ごしごしと手の甲で唇を拭いていたのだった。
ーーー先程の琥白さんとのキスをすべて消し去るように……。
「あ……あの……これは……」
まさか、そんなことまで琥白さんがお見通しだったとは思いもせず、私は金魚みたいに口をパクパクさせる。
琥白さんは、わかっているとばかりに微笑んで、「ではまた明日」と言うと、私の言い訳なんて聞くこともせずに、そのまま歩いて行ってしまった。