白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
その日、琥白さんが家に帰ってきた時間は11時を回っていた。
「琥白さん? おかえりなさい。遅かったですね」
「あぁ、ただいま。よかった、起きてたか」
「だって……」
私はつぶやく。
毎日琥白さんが眠るとき近くにいすぎて、いないと変な感じがするのだ。
私が言うのをやめると、琥白さんは嬉しそうに微笑んで、「待ってろ。シャワー浴びてくるから」と私の頭を軽く叩いた。
いつも通りの琥白さんにほっとしている自分がいる。
「はい……」
私は琥白さんに触れられた場所を手で覆って、その熱をもう一度反芻する。
そして、少しして琥白さんのバスルームでシャワーを浴びる音が聞こえると、やけに緊張してきた。