白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
12章:離さない
抱きしめられていると、やけにドキドキして、落ち着かない。
琥白さんの裸の胸板が頬に当たるから余計だ。
「こ、こここここ琥白さん、もう離してくださいっ」
「そうだな」
琥白さんはそう言いながら、余計に強く私を抱きしめた。
「って言いながら離してくれないし!」
どうしよう。くらくらする。もう、全部どうでもよくなる。
琥白さんは抱きしめる力を少し弱めると、
「ふたば。顔、あげろ」
と低い声で言った。
その声に導かれるように顔を上にあげると、琥白さんの熱っぽい目と目が合う。
そのままゆっくり琥白さんの顔が近づいてきて、私はそっと目を瞑っていた。