白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
1章:期間限定の婚約者
深夜のうちにメッセージが入っていたのだろう。
朝、ぼんやり目が覚めるとスマホのランプが点滅していた。
そしてそのメッセージの発信元が愛華さんだとわかると、私はベッドの中で慌ててそれを開ける。
『愛華さん:ごめんなさい、作戦失敗。あそこまでやって落とせないの初めてだわ』
「もっと早く言ってよぉ……」
もっと早くに知っていれば、彼の登場にあんなに驚くことはなかっただろう。
(日本は今、何時かな?)
昼頃だろう、と思って、
『ふたば:残念ですが、長い間協力していただいて本当にありがとうございました。でも、私はまだ諦められません』
と返信すると、すぐにまたメッセージは来た。
『愛華さん:言い出した私が言うのもなんだけど、あの人は騙せないと思う』
その言葉に、やけに目がはっきりと覚める。
そしてベットから這い出すと、
『ふたば:どういう意味ですか?』
そう返信しても、もう返事はこなかった。