白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
次の日の夕方、私は頭を下げて社長室を出た。
小さく息を吐くと、窓の外を眺める。
その時、琥白さんが廊下の反対からやってくるのが見えた。
「琥白さん……」
「ふたばも呼ばれたのか?」
「い、いいえ」
私は首を横に振って、琥白さんの横を通り過ぎようとする。
そのとき、琥白さんは私の手をぱしりと掴んだ。
その手の力強さにドキリとする。
思わず琥白さんを見ると、琥白さんはじっと私を見ていた。
「帰り、待っておけよ。あとで迎えに行く」
「……でも、私」
「待っておけ」
強い口調で言われて、私は口ごもる。
琥白さんは困ったように笑うと、私の頭を軽く叩いて、じゃ行ってくるわ、と歩き出すと、社長室の扉を叩いた。