白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
14章:お兄ちゃん

 眠る前、私はベッドに座って、最近毎晩見ているパリの絵を見ていた。

「それ、気に入ってくれてよかった」

 そう言って、子どもみたいに頭を撫でられる。

 その手のぬくもりに誘われるように目を瞑って、思わずその手に頬ずりしそうになる。そのとき、それが分かったように琥白さんの手が私の頬を撫でた。

 私が目を開くと、琥白さんと目が合う。

「ふたば、本気で考えてくれ。まぁ、仕事と言っても、結婚したら俺のパートナーとしての役目もあるから……無理のない範囲で。それに子どもも考えたいし」

「子ども……?」
「俺とふたばの子ども」

 琥白さんはきっぱりと言う。

(自分の子どもなんて……)

 持つ気もない、と、これまでずっとそう思っていた。
 でも、不思議と今は思い浮かぶのだ。

―――琥白さんと私が、子どもと一緒にいるシーンが……。
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