白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

 次の日の朝、いつものように琥白さんが会社まで送ってくれる。

 会社に着く少し前、琥白さんは私の手を握ると、少し緊張した様子で

「今日、大事な話があるから。夕食、外で食おう。迎えに行く」

と言った。
 私が頷くと、琥白さんは目を細める。


 そして車を降りると私は考えていた。

 琥白さん、何の話だろう……。
 もう入籍の日は迫ってるし、きっとそのことだと思う。

 その話だったとして、私はどう返事するつもりなんだろう。
 私にはもうその答えがわかり始めている。

 だからこそ……
 今、お兄ちゃんに会って、ちゃんと話しをしたい。謝りたい。そう強く思っていた。

 と言っても今からパリに飛ぶのはなぁ……。
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