白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

―――その時。

 工藤さんの後ろ。
 見慣れた、ここにいるはずのない姿が見える。

「どうされたんです?」
「いえ、今……兄が……」

 そこには間違いなく、兄がいたのだ。

「え?」
「失礼します!」

 私は慌てて、兄の後姿を追っていた。
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