白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「どうしたの、日本に戻ってきてたの? なら連絡くらいちょうだいよ」
「あぁ、すまない」
私は息を吸うと、兄を見る。
「私ずっと気になってたんだけど、お兄ちゃん、もしかして琥白さんと連絡とってる? 今夜の話って言うのも、もしかしてお兄ちゃんと……?」
フランスにいる兄が知らないはずのことも、兄は知っていた。
でも琥白さんは琥白さんで全部見透かしていたのだから、兄と琥白さんが繋がっていると思うのが自然かもしれない。
以前だったら、そんなの絶対やめてほしいって思ってた。でも今は……
「でも、知ってたのが琥白さんならいいや。私も今は、琥白さんの事、ちゃんと好きになれそうだって思ってる」
私は続けた。「ずっと琥白さんが私のそばにいてくれて……琥白さんは、父とは違うって。琥白さんを、信じてもいいのかなって思いだしてきてる」