白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「ふたばはずっと僕といるんだろ? 忘れたのか?」
兄の声が直接脳に届いて、その声を聞いていると、暗いところに引き込まれる気がした。
「お兄ちゃん」
「ふたばは僕とだけいるって。僕を一人にしないって、ずっとそう思ってきたよな?」
「私は……今……」
琥白さんといるって、そうしたいって、思ってた。
確かに私だって、自分だけが幸せになることが怖かった。でも、琥白さんなら、きっと私だけじゃなくてお兄ちゃんのことだって、一緒に考えてくれる。
ーーーなのになんで?