白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい

「ふたばはずっと僕といるんだろ? 忘れたのか?」

 兄の声が直接脳に届いて、その声を聞いていると、暗いところに引き込まれる気がした。

「お兄ちゃん」
「ふたばは僕とだけいるって。僕を一人にしないって、ずっとそう思ってきたよな?」

「私は……今……」

 琥白さんといるって、そうしたいって、思ってた。
 確かに私だって、自分だけが幸せになることが怖かった。でも、琥白さんなら、きっと私だけじゃなくてお兄ちゃんのことだって、一緒に考えてくれる。

ーーーなのになんで?

< 172 / 232 >

この作品をシェア

pagetop