白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
なんだかやけに落ち着かない。
相談したことを少し後悔し始めた時、晴信は楽しそうに笑った。
「あのね、琥白のことだから気づいてないと思うけど、琥白はふたばさんのことが好きだと思うよ?」
「……え?」
(好き……って)
嫌いではないとは思う。でも……正直なところ、俺にはその感情がはっきりとわからない。
これまで、恋愛らしい恋愛はせず、告白された女性と付き合って、身体を重ねて、欲を満たして、それでも後々面倒になって別れて……。いつしか付き合うのも面倒になって、ここ数年は誰とも付き合う気にもなれなかった。
でも、ふたばへのこの感情は明らかに違う。この感情は、名前も、色も、香りも、全てが分からないことだらけで、いつだってこの感情を持て余していた。
「んー……たとえばね。ふたばさんの笑顔が見たい、ふたばさんが気になって眠れない、ふたばさんのことは全部知りたい、ふたばさんが幸せになってほしいと思ってる……できれば、自分の手で幸せにしたいと思ってる」
その言葉に息をのむ。
そんな俺を見て、晴信は微笑んだ。「思い当たるでしょ?」
「ちょ、ちょっと待てよ、何歳下だと思ってるんだ」
俺は慌てて手を横に振った。