白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
「たった6歳でしょ。確か、うちの妹と一緒だよね。そもそも琥白ってさ、6歳の年の差なんて、気にするほど繊細なキャラじゃないでしょ? とりあえず琥白の持ってる無駄に大きい権力使って、ふたばさんの近くにいなよ。こういう時に使わないなら、なんのための権力なの? それ、飾りかなにか?」
「……晴信って、昔から結構失礼だよな」
俺がつぶやくと、楽しそうに晴信が笑う。
「だってそれ初恋だよ。初恋は実らないっていうけど、琥白のそれはバカみたいに遅すぎだし、強引にでも実らせないと、次恋するかもしれないときはおじいちゃんだ」
「……初恋って。まさか。妹みたいなもんじゃ……」
初恋なんて大の大人がすることか。バカらしい。
そうは思うが、心臓はやけに大きく音を立てていた。
「ふうん。じゃ、ふたばさんが他の男とどうこうなっていいんだ。彼女の肌に他の男が触れるの想像してみなよ。どう? ちなみに、一応僕もまだ独身だし、僕の方が適任かもねぇ」
「晴信も他の男もだめに決まってるだろ!」
肌に触れるって、何考えてるんだ!
しかも、想像してみたら、結局、自分の方がやばかった。
そんなこと、他の男にさせられるか!
絶対に許さないし、そんなことした奴がいたら、たぶんカナダの山奥に埋める!
そう思っていると、晴信は楽しそうに笑いだして、結局、泣くほど笑って……。
それから涙をぬぐうと、まっすぐ俺を見た。