白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
17章:兄の気持ちとプロポーズ
―――その夜、私は夢を見た。
それは、お兄ちゃんがいなくなった日の夢だった。
「ふたば」
その声に目を開けると、琥白さんが私を見下ろしている。
心底心配しているような琥白さんの顔を見ると、なんだか笑えてきた。でも、笑っている私を見ても、琥白さんはまだ心配そうな顔をしている。
それからそっと琥白さんは私の頬を拭って、その時初めて、自分が泣いていたことに気がついた。