白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
(でも、不思議とすっきりしてる。身体も頭も……)
ベッドから身体を起こすと、そんなことに気づく。
琥白さんが私の額を触って、熱は下がったようだな、とほっとした声を出した。
「おかげで、もうすっかり良くなりました」
「でも、今日は仕事行くな。連絡しておくから」
「あ……でも……」
「もう無理するな」
琥白さんは笑って、それから自分のスマホを取り出した。
そして電話をかけると、その場で話し出す。
「もしもし壇田琥白です」
誰に電話しているのだろう。名前を名乗るってことは、もしかして総務じゃなくて相手は社長……?
そう思ったのが当たったように琥白さんは、社長、と一言言うと、
「今日限りでふたばを辞めさせていただけませんか?」
とはっきりと告げた。
「えぇっ⁉」
私が慌てて琥白さんのスマホを奪い取ろうとしても、琥白さんにひょい、とかわされる。
ひょいひょいと私をかわし続けながら、琥白さんはなおも話を続けた。