白檀の王様は双葉に芳しさを気付かせたい
兄は少し考えると、また口を開いた。
「まぁ……それくらい跡を継ぐのって大変なんだよ。覚えることも、やることも膨大だし、心理的な負担も大きい。相談できる人も本当に限られる。特に琥白の会社はうちとはけた違いに大きいし」
「お兄ちゃんが言うと、実感こもってるわね……」
「そんな友人と妹の二人が婚約してるだなんて、不思議な気分だよ」
それを聞いて、私は自分の手を握り締める。
「叔父さんから結婚を勧められた相手が琥白さんで最初はかなり驚いたけど、婚約してから琥白さんからのバックアップもあってうちの経営も軌道に乗ってきた。それは琥白さんにも感謝してる。だからこそ、ここで私から婚約破棄はできないの。婚約をあっちから破棄してもらうしかないわ」
私の目的にして目標はここだった。